東大の英語。
2月に受験を控えた教え子がいるので、東大の英語を一緒に解き進めています。
大学入試改革に関わる一連の議論の中で、東大の試験については前近代的だとか、実用性に乏しいとか、各種の批判を目にすることも多いのですが、個人的には良問だと感じています。
理由は、「外国語での思考力や運用能力は母国語のそれを超えることはない」 という原理原則をよく分かった上で作られている試験、という印象を受けるからです。
別の表現をすると、語学の4技能である、読む・書く・聞く・話すの根っこにある、「考える力」を試すものになっていることが見て取れます。
少しだけ具体的に掘り下げてみます。
まず、例年はじめの大問に置かれる、英語で書かれた文章を要約する問題は、その名の通り「まとめる力」を測るものになっています。
また、テストの中盤あたりの英作文は、主に問いを正確に捉えた上で、それに対する自分の考えを、根拠に基づいて書かせるものです。
加えて、各所で逆説や対比を読み解かせていますので、総合すると、論理的思考力の3要素と言われる、「まとめる力(具体と抽象を自在に操作する力)」、「因果関係をたどる力」、「比べる力」をバランスよく確認していると言えます。
たしかに、東大を目指す子が、過去問をやり込んで対策しても、それだけで英語ができるようにはならないでしょう。
ですが、先に挙げた考え方の構成要素自体は万国共通なので、生きる上ではそれなりに役立つと思います。
いずれにしても、民間の試験を使わない方針を公表してから初の入試となる今年は、例年にも増して「本気」 の問題を作ってくると思うので、楽しみです。