p s u k e の 俯 瞰 慧 眼

溢れ出る言葉の記録として書き綴っているブログ。まずは何より自分のため、でも誰かの何かに響けば尚倖。

読了。

大学時代、英語の教科書で「優生学(eugenics)」の存在を知りました。

人間には持って生まれた優劣があるとして、その根拠を遺伝子や出自に求める。当時はそうした考えとして理解し、少なからぬ共感を抱きました。

 

さて、久しぶりに再会した読書。

無事に記念すべき?1冊目となる『コインロッカーベイビーズ』を、最後まで読み終えることができました。

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たしか初めて手に取ったのは高校生の頃。兄弟作とも言える『愛と幻想のファシズム』と併せて、持て余したエネルギーが内と外に向かう描写に惹かれた記憶が蘇ってきました。

併せて、乳幼児の頃に生じた「欠落」が個人の生涯に与え得る影響について、本能的な考察がなされていることを再確認するひと時となりました。

 

さて、話を冒頭の「優生学」に戻します。

これはヒトラー政権下のナチスドイツで、7万人(広義には27.5万人)の障害者を殺害する結果となった「T4作戦」を下支えした論理でもあるそうです。

「分ける(特に優劣に基づいて)」ことの持つ怖さと、そうした単純明快な思考に惹かれた自分がいたことを記憶の片隅に留めておきたいものです。