p s u k e の 俯 瞰 慧 眼

溢れ出る言葉の記録として書き綴っているブログ。まずは何より自分のため、でも誰かの何かに響けば尚倖。

『これからのお金持ちの教科書』

古典から小説、ビジネス書まで500冊を超える書籍を読破した中で、「本棚に残したい!」、「大切な人に共有したい!」と思えた1冊を厳選したレビュー。

 

今回は、加谷珪一さんの『これからのお金持ちの教科書』。

 

■レビュー

著者である加谷珪一さんは仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科を卒業後、日経BP社の記者や投資ファンド運用会社での企業評価業務担当を経て、自身でも億単位の資産を運用する投資家になったという、ユニークな経歴の持ち主。

本書は、出版された2015年から10年後(2025年)の未来を前提に、「どうすればお金持ちになれるか?」まとめたものです。

この記事を投稿する段階で、Amazonには11件のレビューが寄せられていて、★は3.5。

主に、「話題がスマートフォンクラウドコンピューティング・AI普及後の可能性に偏っている」、「内容が具体性に欠ける」といった点がマイナス評価されています。

確かに、こうして指摘される面があることは事実です。

一方で、前身である『お金持ちの教科書』や『大金持ちの教科書』に対して、「これからの」と銘打った本書を、未来学に関するものとして読むと、期待とのギャップは少ないかと。

何より、従来より正確かつ平易な日本語に長けた著者が、遠くない将来を語っている点で、実は中高生くらいの子ども達にとってこそ、教科書になるように思われてなりません。

 

■引用 ※()内はページ数

スマートフォンの普及→隙間時間に価値が生まれる→ すべての人が起業できる時代(002)
ソフトバンクファーストリテイリングが事業スタートから上場するまで10年、ライブドア楽天は3年(010)
・日本では「官に近い業種ほど利益率が高い」(026)
・「新しい資本の時代の主役は企業でなく個人である。」
スマートフォンが普及する前の社会では、 まとまった時間を作ることにだれもが必死になっていた(057)
・「場所と時間の制約を受けないネット環境を手にすると、 人間は際限なくネットを利用する」(061)
・「時間の制約から離れて、効率化を追求できるようになると、 人は反対に対面のコミュニーケーションに時間を割くようになる」 (083)
・給与所得者のうち年収が1000万円を超える人は全体の4%だが、支払う所得税は全体の50%近く(133)
・ 企業の売買では10年から15年分の利益に相当する金額で売却されることが多く、かかる税金はキャピタルゲイン課税の20% のみ(138)

・「自らをメディアとみなし、不特定多数を対象としたコンテンツにアレンジする」(218

・「近年、アメリカを中心にベンチャービジネスに対する学術的研究が進み、起業家の才能に依存すると思われていたイノベーティブなビジネスも、ある程度までは汎用化ぎ可能であることが知られるようになってきた」(233)