築古アパート再生譚4/8ーパートナー選定2「工務店」編ー
「築古アパート再生譚」の第4弾です(前回の記事はこちら)。
今回は、賃貸経営には欠かせないパートナー選定についての後編、工務店とのお付き合いについて。
一緒に汗をかいてくれる「プロ」探し
「アカツキ」の再生に当たっては、早い段階で「自分たちでやること」と「プロに任せること」の線引きを心がけました。そして、本格的に再生を始めた2018年の夏頃、管理会社であるOハウジングの紹介で、NさんとSさんの名コンビに巡り合うことができました。
岩手県出身のNさんは、朴訥とした人柄の実直な方、宮崎県出身のSさんは、まさに九州男児といった男気に溢れた方です。お二人とも、大工として経験を積まれた後に、リフォームの現場に転身なさったという経緯もあって、対応の間口が本当に広い方々です。
「アカツキ」のような築古建造物の再生に当たっては、「満足な図面や履歴も無い中で、継ぎ接ぎで施されてきた修繕の歴史を紐解いて、落としどころを見出す」といった芸当が求められる場面がほとんどです。そのため、即応力に優れたプロの存在は、まさに適材適所でした。入居者の視点に立った提案を貰えることも、当初から「賃貸経営は事業である」と定義づけていた中で、心に響いた点です。
相見積は必要か?
もちろん、当初から全てが順風満帆だったわけではありません。 やりとりを積み重ねる中で、「今回の関係における」理想と思われる形を模索していったのが実情です。
たとえば、当初迷ったことの1つが、相見積もりの必要性です。
賃貸経営に関する書籍を読むと、「工務店はパートナー」
確かに、複数の見積もりを見比べることで、
一方で、これはオーナーの視点に立った考え方です。実際、インターネットで調べてみると、プロに依頼することのほとんどについて、妥当な費用感をはじめとする情報が得られることが分かりました。このことに気づいてからは、
「○○一式」の見積を良しとするか?
見積については、もう1点課題がありました。
業界の慣習である、「○○一式」の形式を呑むか否か、です。本来、工賃は「原材料費」と「人件費」に分解されますから、それぞれに掛かるコストを知りたいところです。
この点を巡っては、窓口であるNさんとの間で、お互いにギクシャクした時期もありました。しかし、今となっては原則として、こうした見積に対しても、快く発注を出せる関係になってきました。
根底には、NさんとSさんに対して、性善説で接することができるようになったことがあります。境地に至るまで交わした立ち話は、トータルで十数時間。極めて日本的なプロセスです。
「不満」や「不安」をあえて挙げるなら?
NさんとSさんの仕事ぶりには助けられてばかりで、少なくとも「アカツキ」の再生に当たっては、後悔ない最善の選択をしたとの確信があります。
一方、「健康な心身だからこその、真にベストなパフォーマンスを目の当たりにしているか?」という疑問は、いつも頭の片隅にあります。
これは特定の個人や企業というよりも、業界の慣習に対してのものです。
建設現場で働く人々が半ば無意識に手に取っているであろう缶コーヒー、コンビニ弁当、タバコなど。こうした品々が働き手に及ぼしている影響について、お付き合いが実際に深まれば深まるほど、心配な気持ちを抱いてしまいます。
今回のまとめと教訓
再生譚の第4弾として、工務店や職人との付き合いの様子を綴ってきました。
そこからは、次のような教訓が見えてきます。
- プロに良い仕事をして貰いたければ、相場観を本気で養いつつ、何を任せたいか?明快にする
- 「ベストパートナー」の条件は物件次第、何よりも大切にしたいのは「人と人」の関わり合い
- 「健全健康な工務店」には潜在ニーズがあるかも!?
第5弾となる次回は、いよいよ(?)外観 / 共有部に対するテコ入れに焦点を当てる予定です。