闇と依存の処方箋。
自身の内なる声に対して嘘偽りなく生きる上で、「心の闇」や、そこから生じる依存心と、うまく付き合っていける距離感を見つけることが、必須条件の1つになってきていると感じます。
特に、世の中が階級で分断され、どことなく不寛容さや息苦しさを増す中で、妬みや嫉みといった感情を受けやすい立場にいる人にとっては、切実な問題なのではないでしょうか。
私見としては、清廉潔白な聖人君子を目指すより、1つや2つは弱みを抱えながら生きる方が、結果的に健康に過ごせるように思われます。
なぜなら、大半の人にとって、「心の闇」のルーツは幼少期の体験などがあり、大人になってから完全に克服するのは困難と考えるためです。
愛された経験が不足していると感じれば、色欲に溺れることもあるでしょうし、過度な緊張状態が苦しかったのであれば、お酒や薬物に頼って思考を解き放ちたいと感じることもあるでしょう。
あるいは、自身を高みに引き上げる原動力になるエネルギーが、方向性を変えた途端に、強力な依存心を引き起こすこともあります。
たとえば、元NBA選手のマイケル・ジョーダンが、コート上で発揮した卓越した競争心は、夜の街では「ギャンブル依存症」という形になって現れたエピソードなどは有名です。
もちろん、ごく稀に、一切の「病」を抱えることなく、人生の階段をスルスルっと昇っていく人も見かけますが、これはあくまで少数派でしょう。
だとすれば、自身や大切な人々を破滅させず、かつ世間に許容される範囲で、抱えたダークサイドと折り合いをつける術について、もっと真剣に考えるタイミングなのかもしれません。