p s u k e の 俯 瞰 慧 眼

溢れ出る言葉の記録として書き綴っているブログ。まずは何より自分のため、でも誰かの何かに響けば尚倖。

『1億稼ぐ子どもの育て方』-新しい子育てへの挑戦を後押しする1冊-

古典から小説、ビジネス書まで500冊を超える書籍を読破した中で、「本棚に残したい」、「大切な人に共有したい」と思えた1冊を厳選したレビュー。

今回は、午堂登紀雄さんの『1億稼ぐ子どもの育て方』

1億稼ぐ子どもの育て方 表紙

1億稼ぐ子どもの育て方 表紙

著者紹介

1971年岡山県生まれ。同県内の公立高校を卒業した後に、中央大学経済学部国際経済学科で学んだ方です。

その後、会計事務所やコンサルティングファームでの実務を経て、2006年に不動産仲介業で独立。

勤め人時代について、自身では「落ちこぼれだった」という語り口で振り返っていらっしゃいますが、積み重ねた「失敗」を糧に身を立てていらした方なのかもしれません。

以前、賃貸併用住宅の購入を前提に研究したことがあって、その際に午堂さんの『ローン0円住宅』が1番の教科書になりました。

それをきっかけに、以降もメールマガジンを購読していて、今回取り上げる『1億稼ぐ子どもの育て方』に巡り会いました。 

ブックレビュー

本書は「(子ども達が)自分の力で人生を切り開ける人間になってほしい」との思いが込められたものだそうです。

主な読者層はお子さんを持つお父さん・お母さんになると思われますが、そうした方々に対して、「起業家精神」を育むための子育てとは何か?を指南する内容になっています。

著者自身が実際の子育てを通して得た経験に加えて、参考文献に挙げられている『科学が教える 子育て成功への道』や『才能の見つけ方 天才の育て方』といった興味深い本のエッセンスも、随所に散りばめられていると感じました。

文体も平易で、バランス感覚に優れた1冊ということで、「偏差値や学歴偏重の教育には疑問を感じる…でも、かと言って極端に振り切った教育に踏み出すのは不安」と感じる方々にとって、特に役立つのでは?と思われます。 

引用

起業家精神とは、衣食住と同じくらい人間の本性に根ざしたもので、みずからの知恵と努力と才覚で生きていこうというなまなましい生存欲求(013)

 資本主義社会で生き残るために最後に残された役割がイノベーターであり、イノベーターとそうでない人の間には、 埋めようのない大きな格差がさらに開いていく

 そもそも『稼ぐ』とは『人や社会の役に立つ』 ということですから、世の中の問題を発見し、それを解決する能力が求められます(021)

アメリカでギフテッド教育が本格化したのは1957年にソ連が世界初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功してから(030)

ギフテッド教育心理学の権威であるモントリオール大学のフランソワ・ガニエ教授による「ギフテッド」の定義「未訓練かつ自発的に表に出る自然な能力」(034)

アメリカではモンテッソーリも公教育として認められており、 3000以上の学校がある(041)

教育に求めるものの1つが教養(058)

子どもの教育格差の大きな原因のひとつは、親の情報格差( 063)

幼少期の親との望ましくない関係は、 子どもの脳を萎縮させるという医学的な結果が出ている(068)

まとめと所感

こちらの書籍に限らず、ここ数年の教育本の傾向として、「学力」を謳ったものと、「起業」を謳ったもので二極化してきた現象を興味深く見守っています。

ただ、日本人の大半が「起業=子育ての当たり前」と考える環境を本気で作るためには、いくつかハードルもあることが事実かと。

特に、「成功には原理原則(法則や方程式)があること」と「失敗をマネジメントする方法があること」についてカバーすると、こうしたメッセージもより普及するように思われます。

本書の場合は、「ひとまず全体の2割に受け入れられれば良いのでは?」とのスタンスを感じますので、響きそうな方にはご紹介していきたいと思います。